【連載企画】足の機能から考える足元の工夫〜外反母趾の原因は踵にあった!〜第2弾 「横アーチの機能を最大限に活かす工夫」

足の機能を重視した靴のフィッティングと踵の倒れこみ・横アーチの調整方法

 

足の機能に基づき評価を行うことの重要性

それは、効果的なインソールの調整や正しい靴の提案など方針を決めるために必要不可欠である。

足の中でも特に重要な「踵」と「横アーチ」の関係とは・・・?

 

 

 

 

第2弾では、横アーチの機能を最大限に活かす工夫についてご紹介します。

 

 

 

 

横アーチに対して靴やインソールで工夫をする前に、対象者の足がどんな足なのかを知る必要があります。

どんな足なのかを見極めることで方針が決まります。

横アーチに対する工夫と言っても、実際には足部全体へアプローチすることがほとんどですから、治療の方針を決めることは非常に重要なことだと思います。

 

 

 

 

柔らかい足と硬い足

横アーチは足囲を計測することで柔らかい足か硬い足か判断できます。

足囲が荷重位と非荷重位で24mm以上の差がある足を柔らかい足、12mm未満を硬い足と判断します。

JIS靴のサイズ表を参考

 

 

 

 

 

横アーチの破綻タイプ

横アーチの破綻を見極めるには、側角も重要です。

 

側角とは、足の外郭線を用いた全履強式計測法のことを言います。

 

この第1趾側角はレントゲン撮影による方法(HV角)と相関があるとされています。

そのため、臨床では母趾の直線的配列を評価する際にはこの側角を利用します。

 

 

外反母趾や内反小趾が観察される足部において、横アーチの破綻が多く観察されます。

外反母趾診療ガイドラインによる重症度分類では、

第1中足骨と母趾の角度(HV角)が20〜30°で軽度、30〜40°で中等度、40°以上が重度とされています。

 

理想的な横アーチは直線的配列が保たれている状態です。

つまり

  • 第1中足骨と母趾の角度がほとんどない状態 
  • 第5中足骨と小趾の角度がほとんどない状態

 

外反母趾や内反小趾がある場合は、横アーチの破綻タイプを見極めるのに役立ちます。

例えば、母趾の方がより外反している場合は内側タイプと判断し、外側に対して内側荷重が優位であることがわかります。

逆に、内反小趾が強い場合、外側荷重優位の可能性があります。

 

 

 

 

横アーチパッドの調整方法

横アーチパッドを使用する場合、頂点である第2中足骨を支えるように貼付するのが効果的です。

まず、パッドを貼付する大体の位置を決めるために、インソールにマーキングをします。

マーキングの位置は、第1中足骨頭・第5中足骨頭・第2趾先端・踵中央です。

 

マーキングができたら、第1中足骨頭と第5中足骨頭を結ぶように線を引きます。

次に、第2趾先端と踵中央を結ぶように線を引きます。

 

横アーチパッドを貼付する位置は、この2つの線の交わるところを目安に行います。

この時、第1中足骨頭と第5中足骨頭を結んだ線よりも5mm程度踵よりにして貼付することがポイントです。骨頭の位置でマーキングしているため、横アーチパッドが骨頭にかぶってしまい関節運動を妨げてしまうためです。

 

大体の位置が決まったら、足部に合わせて微調整を繰り返します。

 

実際には、ウィンドラスメカニズムを働かせて調整します。

ウィンドラスメカニズムを働かせることで、横アーチの形が見えてきます。

 

この頂点にパッドの頂点がドンピシャになる位置まで調整します。

また、マーキングがずれることもあります。

前後の位置も細く調整すると、より良い調整ができると思います。

 

ちなみにパッドはエムソルド社製のソフトなパッドを使用しています。

下の素材で同じような大きさにカットして代用することも可能です。

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厚さは好みですが3mmでは違和感に感じてしまう方もいると思います。

 

 

ポロンシートが手に入ったら以下の画像のようにカットしてみましょう。

パッドの角をハサミで切り落とすと、より違和感なくご利用頂けると思います。

私自身、病院でパッドを使用するときはこのような方法で実施することもあります。

 

 

 

靴紐での調整

横アーチは靴紐の調整でもアプローチ可能です。

 

横アーチは、第1中足骨と第5中足骨が広がるようにして低下してきますから、それを止めてしまえば横アーチの低下は防げます。

靴紐で調整といっても、特段難しい通し方や結び方をする必要はありません。

靴紐のパートを三分割し考えていきます。

 

 

 

前半は足趾の曲がりに影響します。

緩すぎず、きつすぎないよう足に沿わせるようにして締めます。

 

 

 

靴の中心部分は横アーチの広がりを抑えるために、ややきつく締めます。

しかし、きつすぎるとたわむ余裕すら制限することになるので圧迫感のないよう微調整が必要です。

 

 

 

最後に足関節にもっとも近い部分です。

ここは、きつく締めてしまうと足関節の動きを妨げます。

こちらも沿わせるように締めてあげましょう。

 

 

 

 

まとめ

横アーチパッドは、開張足のタイプに関わらず第2中足骨に合わせる

※感覚入力系のパッド調整の場合を除く

靴紐で足の広がりを抑える工夫も大切

 

 

 

 

次回予告

横アーチ低下の原因は踵にあった!

第3弾では、シンプルですがとても重要な踵の動きを紐解きます。

 

 

 

【参考資料】

1)内田 俊彦ら,外反母趾角の計測,靴の医学vol 16,p47-50,2002

2)日本整形外科学会診療ガイドライン委員会,外反母趾診療ガイドライン策定委員会,「外反母趾診療ガイドライン2014改訂第2版,南江堂,2014

3)林典雄(著),運動器疾患の機能解剖学に基づく評価と解釈 下肢編,運動と医学の出版社,2018

4)アシックス スポーツ工学研究所,おもしろサイエンス 足と靴の科学,B&Tブックス日刊工業新聞社,2018

運動器疾患の機能解剖学に基づく評価と解釈下肢編 [ 林典雄 ]

足と靴の科学 おもしろサイエンス (B&Tブックス) [ アシックススポーツ工学研究所 ]

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