人には動きやすい方向があるということを前回まで述べてきました。
今回からは、何故そうなりやすいのか考えます!
重心に作用する2つの力
ストレステストで何が起きているかを紐解く前に、立っている時に作用する力について整理します。
まず、重心には2つの力が作用しています。
1つが、まっすぐ真下に作用する重力
もう1つが、床反力です。
この床反力が立ち上がる点を床反力作用点(COP)と言います。
この、重力と床反力の合力が重心の移動する方向になります!(ここで言うと緑の矢印が重心の移動する方向です)
臨床において、この重力と床反力の向きを考えることは非常に重要なことだと私は考えています。
とても基礎的なことですが、基礎はとても大事ですね!
力学的平衡理論
立っている時に作用する2つの力について整理しました。
次は、力学的平衡理論というものを用いて考えてみます。
少し難しい話になりますが、できるだけ噛み砕けるように頑張ります!笑
まっすぐ立った状態で重心が前後に動く場合、重心が回転する方向はどのようにして決まるか? という話です。
重心が前か後ろのどちらに動くかは、
①COPから足関節までの距離×床反力
②身体重心から足関節までの距離×重力
この2つの要素のどちらが大きいかで重心が回転する方向が決まります!
上の図の場合、①よりも②の方が足関節からの距離が大きくなります。
よって、重心は前方への加速度が生じ、重心は前方へ移動しやすくなります。
重心が前方に移動すると、立っている姿勢を保持するためには前に行かないようにブレーキが必要になります。
今度は、①の方が②よりも足関節からの距離が大きくなります。
重心は前方に回転しようとしますが、重心に作用する加速度は後方に作用します。
あとは、これの繰り返しです!
重心に作用する加速度が後方に向かい、重心は後方に移動…
倒れないようにするために①を小さくして、また前方へ…
こんな風なことを繰り返して私たちは立っている姿勢を保持しています。
私の行っているストレステストでは、外力によってこのCOPの位置を見極めようというものだと考えています。つまり、ここでいう重心が回転する力を強調しているということです。
前からのテストに耐えられるということはCOPが前方から立ち上がりやすく、重心は後方に移動しやすい…
逆に言えば後ろからのテストではCOPが後方から立ち上がりにくいため、簡単にふらついてしまう…
少し難しい話で、私自身まだまだ理解しきれていませんが、少しずつ理解して臨床に落とし込んでいければと思います!
安定性限界と内側・外側
前後の関係については、先ほどまでの内容で概ね説明ができます。
では内側と外側はどうでしょう?
もちろん力学的平衡理論で説明することもできますが、また別の視点から見てみましょう。
まず、浮かしている脚側の肩から真下に加重をかけた時、耐えられない場合に起きていることを考えます。
内側パターンの場合、すでに安定性限界域が内側に偏っているため、加重に対して足裏のCOPをさらに内側に移動できる余裕がありません。
逆に外側パターンの場合はCOPを少しだけ内側に移動する余裕があります。
そのため、一時的な加重という外力に対して耐えられるわけです。
外側パターンの場合はすでに安定性限界域が外側に偏っているため支えている側の肩から真下に加重を加えた際には耐えることができません。
つまり、COPが移動できる余裕がないと床反力を立ち上げることができなくなるということになります。
最後に
目の前で起きている現象がどういう原理で起きているのか?
このストレステストを始めて見たときから、その原理が気になって気になって仕方がありませんでした笑
これが正解かはわかりません!
また何か思いつく度にアップデートを重ねていきたいと思います(^ ^)